‐彼と彼女の恋物語‐



――――――……翌日


いつものように家を出て彼の住むマンションへと足を運ぶ。


見慣れたドアの鍵穴に彼からもらった鍵をさして開ければ玄関には革靴が。


仕事から帰ってきたのかとそれを棚にしまい自らの靴を隅に寄せる。


と、リビングの方から物音が。


「(熊谷さんかな)」



前日のことがあるためか彼女は特に気にすることもなく廊下の奥のドアを開けた。



「―――――……え」



呆気にとられたような声に振り向いた先生――…彼は帰ってきたばかりの装いをしてコーヒーを飲んでいる。



「あれ、もうそんな時間だったか。おはよ」

「……おはようございます」



てっきり寝室にいるものだと思っていた彼女は少し眉間に皺を寄せる。



「(コトが警戒してる)」

「(ニヤニヤしてる)」

「さっき帰ってきたんだ」

「……寝たらどうですか」

「それが眠れなくて」

「寝てください」



明らかに眠そうな顔をしているのに着替えもせずにいる彼。



「……お仕事、どうでしたか」


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