‐彼と彼女の恋物語‐
大量の睡眠薬を摂取して手首を切ったらしい。
学校から帰ってきた私はリビングにあるその光景にただ立ち尽くすことしかできなかった。
なにをすればいいのかなんてわからずに、馬鹿馬鹿しくて笑ってしまった。
ああ、最後まで私は足手まといだったんだ。と思い知らされた。
悲しいとか、辛いとか、感情が溢れだすと思っていたのにそれはなくて。よくわからない喪失感に襲われた。
それから何時間だか何日だかわからない頃に、警察が来た。
何人もの警察をただ呆然と眺めていれば可哀想な子だという声が聞こえた。
それから何日かして可哀想な子の烙印を押された私は何も喋らなかったせいか精神科に押し込められた。
後日、母の遺品を整理していたら出てきた遺書を刑事が持ってきた。
そこには、父への愛が書かれていただけだった。