‐彼と彼女の恋物語‐
結局、彼が起きたのは12時前。それでもまだ睡眠時間は足りてないようで。
「コト、これ捨てといて」
なんて真面目な顔をして携帯を渡してきた。
「熊谷さんが仕事詰めるんですか?」
あまりにも辛そうなのでそう聞けばコーヒーを催促しながら否定する。
「―――いっぱい雑誌に載ればいつでもコトに見てもらえるでしょ」
寝ぼけているんじゃないかと思うほど甘い台詞を吐くとさぞ美味しそうにコーヒーを飲む。
眠気を飛ばすように伸びをする彼。
「今日も…仕事ですか?」
いくらバランスを考えて食事を調整していたとしても睡眠時間が足りなければどうしようもない。しかも仕事が仕事。
「違うよ、今日はお休み」
作家もモデルも、と付け足す彼は欠伸を噛み殺しながら愛しそうに彼女を見た。
「(眉間に皺よってる)」
「なんですか」
「かわいーなって。こっちおいでキスしよう」
「寝てください、危ないですよ色々と」
「ほんとにね。コトが可愛すぎてどうにかなりそうだよ」