‐彼と彼女の恋物語‐
靴下越しから伝わるフローリングの冷たさに一瞬だけ足がびくついた。
「コトは働き屋さんだね、まだ寝てていいのに」
「…仕事ですので」
「そっか、じゃあ一緒に行く」
冷たいフローリングを二人で歩きながらリビングまでの短い距離を進む。時計を見ればまだそれほどでもないらしく些か気分がほっとした。
「夕飯なにー?久しぶりにパスタ食べたいな」
「スープパスタですか?」
「う~ん…なんか野菜と野菜みたいな…とりあえずほうれん草が食べたい」
「わかりました」
彼女が冷蔵庫のなかから野菜を取り出しているとみゃーという鳴き声が。
足に絡み付く仔猫はどうやら彼女たちと同じく寝起きらしい。