‐彼と彼女の恋物語‐
『題 キミは。
小さな小さな手を
ぼくはにぎり返す
キミは言うよ
ぼくは言うよ
ずっと一緒だよ
離れないでね
セカイはかわっても
僕らは変わらない
また、明日
また、明日。』
それは、どこかで聞いた台詞とかぶって、視界が霞む。
零れ落ちそうなその水を些か乱暴に拭き取って、違う雑誌をまた捲る。
それは、インタビュー形式のもので淡々と彼が答えていく様子が見てとれるようなもの。
“小説を書くきっかけは?”
「中学のときの読書感想文をそのときの担任に褒められたんです。
それがきっかけで文を書くのが好きになったんです。」
記者の答えに述べられるそれには初めて知るようなことばかり。こんなに近くにいるのに、もしかしたら
一番遠い
かもしれない。不安定な距離なのだ。