‐彼と彼女の恋物語‐
「せんせっ…!(誰かに見られたら…)」
「ん、終わり」
さらりと撫でられた首筋にぞわりと背中から何かが這い上がってくる。
「よし、もう家入って」
「―――――」
やりきった感満載の笑顔を振り撒く彼に怒気として感情が高まるが持ち前の冷静さでなんとか押さえる。
「ほら、ちゃんと入ったら鍵閉めるんだよ」
「わかって……あ、(忘れてた)」
「コト?なに、どうしたの」
わかってます、と言ってクールに踵を返すはずだった彼女が思い出したように口を開く。
そして彼女らしくない間を一瞬置くと感情の籠ってない瞳を彼に向けた。
「すいません、忘れてました。先生が寝ていた時に女性がいらっしゃいました」