独眼竜のあなたへ。
こうして俺は、尾張に向けて出発した。
最近いやこのところ夢中になれるものが
俺にはない。
自分だも思うが冷めていると思う。
優しくないともいわれるが俺には優しさを伝える口が動かないだけだと思う。
でも小十郎だけは、口に出さなくても俺の考えていることが分かるらしい。
さすが友であり、一番の家臣だ。
そうして旅から三日目の昼、
「正宗様、もうすぐ尾張です。」
「ああ、疲れたな」
俺たちは信長殿に会うために尾張に来た。
このたびによって俺の運命が変わる気がした
俺の予感は当たるもんだ
「では、そのまま城にまいりましょう。信長さまもお待ちでしょうから」
だが、城を出てから三日目。
まだ運命は変わってない。
「正宗様、きいていますか?」
「・・・ああ。きいてる」