エゴイストよ、赦せ
キック、スネア、ハットがゆったりとしたリズムを刻み始めた。
右側のスピーカから、美しいギターのアルペジオが、浮遊感を醸し出す。
ベースが唸ると同時に、もう一本のギターが美しさを切り裂くように入ってくる。
屈折した想いを叩きつけるかのような印象を抱くギターのリフ。
そして、聴こえてきたのは懐かしい歌声だった。
狂おしく切ないメロディ・ラインを、やや掠れた声が愛でていく。
Bメロの入りで転調し、それまでを打ち消そうとするかのようにキャッチーなメロディに変わり、サビに入ると、反発し合うかのようだった二本のギターは、絡み合い、一体となった。
曲が終わっても、僕は動けない。
マウスを持つ手が少し震えていた。
この歌声、歌い方、コード進行の癖、ギターソロでのチョーキング。
間違いない、“あのひと”だ。
我に返った僕は、再びマウスを動かし、再生ボタンをクリックする。
僕の耳には、スピーカからの音しか聴こえていなかった。
右側のスピーカから、美しいギターのアルペジオが、浮遊感を醸し出す。
ベースが唸ると同時に、もう一本のギターが美しさを切り裂くように入ってくる。
屈折した想いを叩きつけるかのような印象を抱くギターのリフ。
そして、聴こえてきたのは懐かしい歌声だった。
狂おしく切ないメロディ・ラインを、やや掠れた声が愛でていく。
Bメロの入りで転調し、それまでを打ち消そうとするかのようにキャッチーなメロディに変わり、サビに入ると、反発し合うかのようだった二本のギターは、絡み合い、一体となった。
曲が終わっても、僕は動けない。
マウスを持つ手が少し震えていた。
この歌声、歌い方、コード進行の癖、ギターソロでのチョーキング。
間違いない、“あのひと”だ。
我に返った僕は、再びマウスを動かし、再生ボタンをクリックする。
僕の耳には、スピーカからの音しか聴こえていなかった。