エゴイストよ、赦せ
ローサが働いている店というのは、キャバクラだった。

夜の仕事ってやつだ。

正直、キャバクラ嬢とかホステスなどという言葉に、良い印象は持っていなかった。

そういった店に行ったことはなかったし、行きたいと思ったこともない。


お金を払って女性に話を聞いて貰う店――。

仕事の愚痴をこぼすサラリーマンも、上から目線でウンチクを垂れ流す社長さんも、彼女たちに上手く喋らせてもらっているわけだ。

それで気分良くご帰宅なんて、僕には理解不可能で。


それでも、僕の彼女たちに対するイメージは、以前よりも改善された気がする。

きっとローサのせいだ。


夜の仕事――文字にしてみれば、夜に働いている、それだけのことだ。

僕が働いている時間帯だって夜だ。

なんだ、同じじゃないか。

僕はパソコンのモニタと向かい合い、彼女は人間と向かい合う。

そう考えると、僕よりもローサの仕事の方がまともな気がした。
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