エゴイストよ、赦せ
いくつになっても、女性の扱いには慣れない。
解らない。
彼女たちって、空に浮かぶ雲みたいだなって思う。
じっと見ているときは、相変わらずの姿でのんきに浮かんでいるのに、少し目を離したりすると、形は変わっているし、肩を怒らせたり、冷たい雨を降らせてみたり。
あげく、どこかに流れていってしまう。
気まぐれって意味なんだけど。
食器を洗い終えたローサが隣に座り、僕の肩に頭を預ける。
少し明るい色の、彼女の髪がサラリと揺れて、僕はそれを綺麗だなと思う。
「何、考えてるの?」
「何が?」
「今、何か考えてたでしょう?」
「考えてたかな……」
「あ、わかった! 俺はどうしてローサの虜になってしまったのか」声色を変えてローサが言う。
「なんだよ、それ。俺の真似?」僕は笑う。
「似てない?」ローサも笑っている。
「似てない」