エゴイストよ、赦せ
本の方は、ファッション雑誌、和風料理レシピ集、日本の風景の写真集、それから、小説とか詩集とか、他にも経営学などの実用書が並んでいる。

写真集は、イタリアの女性カメラマンが撮影したものだそうだ。

日本語が書かれていないカバーが、不思議と美しく見えた。


実用書は左から、

『そして誰もが社長になった』

『社長室でつかまえて』

『若き社長の悩み』

『日はまた沈む』

『夜逃げ前に朝食を』

という順番で並んでいる。

これはローサのジョークだ、と思いたい。


小説、詩集は、カフカ、カミュ、ランボー、ボードレール、モーパッサン、漱石に、公房。

僕よりかは読書家みたいだ。

僕が、それらの中で読んだことがあるのは、ボードレールだけ。

ランボーなんて、まず思い浮かぶのはスタローンだよ。

乱歩なら好きなんだけど。


カフカを手に取る。

フカフカのベッドでカフカを読むローサ。

そんな冗談みたいな状態の彼女を想像して、可笑しくなった。
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