エゴイストよ、赦せ
料理が出来上がり、テーブルの上に並べると、ローサは大袈裟に喜んだ。


「すごいよ。本格的じゃん!」宝物でも見つけたかのような笑顔だ。


「美味しそうだね」絵莉も期待に満ちた顔をしている。


白身魚のムニエル、ロールキャベツやポテトが入ったスープ。

まあ、頑張った方だとは思うけど、それでもローサの料理には遠くおよばない。

彼女の料理の腕は、かなりのものなんだ。


「うん! 美味しいよ!」ロールキャベツを食べたローサが言う。


「本当かなぁ?」


「お世辞言ったって仕方ないし」


「仕方ないことはないと思う」


モチベーションが違うだろう、と僕は思った。


「これだけ作れるなら、これからも作ってもらおうかなぁ」


「これだけしか作れないかもしれない」


「ポトフは圧力鍋使ったの?」


ローサのその言葉に、これはポトフだったのか、と思う。

言われてみればそうかも。
< 30 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop