エゴイストよ、赦せ
「そうなんだ。でも、きっとまた会えるよ」

何の根拠もない無責任な言葉だ、と思いながら、僕は言う。


「うん……」 


つないだ左手に力が入ったのは、僕の右肩に寄り添う、冬の寒さのせいだろう。


それっきり、僕らは何も言わずに歩いた。

吹きつける冷たい風が、ローサの長い髪と彼女の首に巻かれた僕のマフラーを揺らしていた。


正面から来た、柿色の小さな車のヘッドライトに照らされたローサの横顔は、とても綺麗で。

だけど、とても寂しそうだった。

見上げた冬の星空よりも、ずっとずっと。


部屋に戻った僕らは、煙草を吸った。

ローサも、僕と一緒にミルクティーのホットを飲む。

珍しい、と思う。


ローサは絵莉に、僕のことを何と言って説明したのだろう? 

絵莉を紹介されたとき、僕のことはすでに話していたみたいだった。

恋人だとでも言ったのだろうか。

そうかもしれない。

だけど、僕とローサの関係ってなんだろう? 
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