エゴイストよ、赦せ
そもそもローサは、僕に何を求めているのか? 

寂しさを埋める相手? 

いや、いつもベタベタと甘えてくるわけじゃない。

どちらかと言えば、さっぱりとした感じだ。

性格もそう。

外見の可愛らしさに反して、男らしいとも言える。

それに、意外としっかりしているんだ。

僕なんかより、よっぽど。


ならば……、どうして、あの日、僕をベッドに誘ったのか? 

僕は、ローサの本当の名前さえ知らない。

『み』で始まる名前だろうか? 

歳はいくつだろう? 

二十歳過ぎくらいか? 

絵莉もそのくらいに見えた。


ローサの顔を見る。


「ん? どうしたの?」彼女には、すでにいつもの笑顔が戻っていた。


「いや、別に……」


ローサだって、僕の何を知っているというのだろう。

名前と職業、それくらいじゃないのか?


「なぁに?」少し甘えた感じの声。


「さあ、なんだろうね?」僕は、とぼけてみせる。
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