エゴイストよ、赦せ




憧れ、尊敬していたひとが、僕の前から居なくなったとき、僕は夢を諦めた。

本当は随分前から、もう届かないと解っていたのだけれど、それでも夢を見ていたかった。

それを理由にしていたかった。

きっと、そうしなければ、ここまで耐えられなかったと思う。

だけど、どこかで区切りをつけなければいけないことも解っていた。

だから僕は、あのひとが居なくなった日を、夢の終わりにしたんだ。


大人になってしまった証拠かもしれない。


そう、大人だ。


生れ落ちた子供たちが、その目で見つめているのは、大人だ。

どうやって生きていけば良いのか、ということを、大人たちを見て、感じて、学ぶ。

大人が思っている以上に、子供たちは大人を見ている。

ずっと、見つめている。

じっと、見つめている。


そして。


少しずつ、少しずつ。

確実に、確実に。

侵され、混ざり、汚されていく。


綺麗だったものが。
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