エゴイストよ、赦せ
悲しいメロディがベッドの海に流れ込んできて、僕の意識は再び引き戻された。

携帯を操作しながら、僕は彼女と出会った日のことを思い出していた。

あのときも、確かこんな感じで、邪魔をされたっけ。



 『起きてたんだね。
  
  本当は寂しくて
  眠れなかったんじゃないのかなぁ? 
  
  あたしの身体が恋しくて。
  
  なーんてね』




ローサからの返信を読み、またメールを返す。




 『寂しいのはローサだろう?』




いつから、僕はこんなふうになってしまったのだろう。

先に進もうとする努力、何かをする努力を忘れてしまったのは、いつからだ? 

もう思い出せない。

気づいたときには、何かをするためではなく、何もしないためにはどうすれば良いのか、そんなことばかりに頭を使うようになっていた。

その結果、口から出るのは言い訳ばかり。
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