エゴイストよ、赦せ




目を覚ましたのは、やわらかなベッドの上だった。


「良かった……。大丈夫?」


僕がローサを認識するよりも先に、彼女が言った。


僕の両目が、心配そうな表情で僕を見ているローサを捉える。


「うん……。今、何時?」


他に言うことがあるはずなのに、僕はそう言ってしまった。


「えっと……。16時20分」時計を確認して、ローサが言う。


「そっか」


僕は上半身を起こした。


「寝てたほうが良いよ」


「大丈夫だよ」


「ダメ! どうせ、仕事には行くつもりなんでしょ? せめて時間までは休んでなさい」


少し強い口調で言うローサの表情からは、もっと強い意志が感じられる。


「大丈夫だって」


もう一度、そう言ったのだけれど、ローサの視線に負けた僕は、結局彼女の言うとおりにした。


「熱は……、うん、上がってないね。良かったぁ」


僕のおでこに手を当てながら、ローサは言い、安堵の溜息をつく。
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