エゴイストよ、赦せ
僕の体を心配してくれるローサに、大丈夫だよ、と答えてから僕は提案する。


「今度さ、連休が取れたら、どこかに出掛けようか? 待ち合わせとかしてさ」


「それって……、デートのお誘い?」


「まあ、そうかな」


――この世界は嘘だから。


「うーん、どうしよっかなぁ」


「嫌ならいいよ」


――この世界が嘘ならば。


「あー、ウソウソ。行きたいです」


「じゃあ、休み取れたらどこに行くか決めよう」


――本当の世界はどこにあるのだろう?


「わかった。楽しみにしてるからね」


「ああ」


――僕らはどこへ行けるのだろう?


「ねぇ?」


「ん?」


「初めて会ったときのこと、覚えてる?」


「そりゃあ、ね。忘れる方が難しい」僕は少し笑う。


「だよ……ね。えへへ、なんかさ、改めてデートだなんて、二回目の出会いみたいで照れるね」


二回目の出会い、か。

そうだ、もう一度出会えばいい。

やり直せばいい。

僕は……、大人なんだから。



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