エゴイストよ、赦せ
愛のI know
それは、ほんの一瞬だったかもしれないけれど。
彼女が落胆の色を浮かべたのは、僕が連休が取れるのは四月の中旬になる、と伝えたときだ。
あれから三週間、休みはそれなりに取れていたけど、連休は一度もなかった。
僕らはベッドの上に寝そべり、身体を向き合わせて、話をしていた。
「ごめんね」僕はローサに謝った。
「え? ううん、大丈夫だよ」
僕の表情から何かを感じたのだろう。
ローサは取り繕うようにすぐに言葉をつなげる。
「桜が散ってしまうなぁって思っただけ」
「この辺りでも見れるよ。夜桜も良いと思う」
「そうだね。隣の駅から歩いて行けるよね?」
「ああ、あの川辺の桜並木か」
「そうそう。去年もね、電車の窓から見ただけなんだけど、すっごく綺麗だったよ」