エゴイストよ、赦せ
彼女は――三鷹が、僕に似ていると言ったその彼女は、きっと考え続けただろう。

疑問を抱え続けただろう。

答えを出せず、けれど、忘れることも、吐き出すこともできない。

埋め尽くされ、膨れ上がり、押し潰されていく心は、やがて耐えられなくなったのだろう。


何も信じられない、もう笑えない――と。


よくわかる。

同じだから。

僕も同じなんだ。

消えてしまいたかった。

誰にも知られずに、どこか遠い場所で、静かに僕を終わらせたいと思っていた。

僕が僕であるうちに、終わらせてしまわなければ、そう思っていた。


ずっと声が聴こえるんだ。

こちらに来い、と誰かが僕を呼ぶ声が。


けれど――。

今はそれが怖い。

その声が怖いと感じる。

いや、死ぬことが怖いんじゃない。

ローサ……、そう、ローサだ。

彼女の温もりを、感じられなくなることが、とても怖い。


ローサが僕を求めていることを、僕は理由にしていた。

僕がまだ、ここに居ることの理由だった――はずだったのに。


いつのまにか、僕がローサを求めるようになっていた。

認めたくなかったけれど。


そう、三鷹の言うとおりだ。

気づいていないフリをしていただけ。


生きていたって、いずれ消えてなくなるのに、可笑しいよね。
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