エゴイストよ、赦せ
どうも視線を感じる――そう思って顔を上げてみると、その残された方の彼女は、僕をじっと見ていた。
僕の真正面から一人分隣、左斜め前に座っている彼女は、その身体を僕の方向に向け、両膝の上に両肘、その両肘から伸びた先の両手であごを支えている。
外側が少し下がった二重の大きな目が印象的で、小さな白い顔が、掌の上、チューリップの形の間で揺れていた。
そこまではっきりしっかり見られると、緊急回避することもままならない。
その結果、当然僕と彼女の目と目が合うわけだけど、驚くことに彼女は視線を逸らすどころか、僕に微笑んでみせた。
ニッコリ、という言葉がぴったりな笑顔だった。
この車両には、僕たち二人だけ。
すなわち彼女の『ニッコリ』な笑顔は、僕に向けられていることは間違いようがない。
彼女が先祖代々続く陰陽師の家系である、とかの類でない限り。
どうする?
三秒考える。
彼女と見つめ合ったまま。
僕の真正面から一人分隣、左斜め前に座っている彼女は、その身体を僕の方向に向け、両膝の上に両肘、その両肘から伸びた先の両手であごを支えている。
外側が少し下がった二重の大きな目が印象的で、小さな白い顔が、掌の上、チューリップの形の間で揺れていた。
そこまではっきりしっかり見られると、緊急回避することもままならない。
その結果、当然僕と彼女の目と目が合うわけだけど、驚くことに彼女は視線を逸らすどころか、僕に微笑んでみせた。
ニッコリ、という言葉がぴったりな笑顔だった。
この車両には、僕たち二人だけ。
すなわち彼女の『ニッコリ』な笑顔は、僕に向けられていることは間違いようがない。
彼女が先祖代々続く陰陽師の家系である、とかの類でない限り。
どうする?
三秒考える。
彼女と見つめ合ったまま。