エゴイストよ、赦せ
ローサは、僕の腕を掴んだまま両手をゆっくりと下ろした。
「あなたに出会うまで、あたしの心は凍っていたの。あなたの笑顔が、あたしを救ってくれたの」
嘘だ、と僕は思った。
僕の頭はそう考えた。
僕が彼女に見せてきたのは、造ったものだ。
うわべだけが綺麗な。
写真のような薄っぺらさ。
そう、写真だ。
それがどんなに綺麗だとしても、その手で直に触れて感じることはできない。
彼女だって、本当はわかっていたはずだ。
だのに、何故だろう。
信じようとしていた。
彼女の言葉を。
彼女のひとつぶを。
僕の心が。
“信じたい”と願っていた。
ローサは、掴んだ僕の手を、今度は自分の胸へと導いた。
「聴こえる? あたしの声」
「……聴こえるよ」
「感じる? あたしの心」
僕は頷く。
何度も……、何度も。
「あたしの心を、あなたが溶かしたの」
ローサは、僕の頬に両手を添えて、やわらかなくちびるを押しつけてきた。
彼女はそのまま僕を引き寄せ、後ろに倒れるようにベッドに身体を沈ませた。
ああ、そうだったな――僕は彼女の魔法にかかっていたことを思い出す。
「あなたに出会うまで、あたしの心は凍っていたの。あなたの笑顔が、あたしを救ってくれたの」
嘘だ、と僕は思った。
僕の頭はそう考えた。
僕が彼女に見せてきたのは、造ったものだ。
うわべだけが綺麗な。
写真のような薄っぺらさ。
そう、写真だ。
それがどんなに綺麗だとしても、その手で直に触れて感じることはできない。
彼女だって、本当はわかっていたはずだ。
だのに、何故だろう。
信じようとしていた。
彼女の言葉を。
彼女のひとつぶを。
僕の心が。
“信じたい”と願っていた。
ローサは、掴んだ僕の手を、今度は自分の胸へと導いた。
「聴こえる? あたしの声」
「……聴こえるよ」
「感じる? あたしの心」
僕は頷く。
何度も……、何度も。
「あたしの心を、あなたが溶かしたの」
ローサは、僕の頬に両手を添えて、やわらかなくちびるを押しつけてきた。
彼女はそのまま僕を引き寄せ、後ろに倒れるようにベッドに身体を沈ませた。
ああ、そうだったな――僕は彼女の魔法にかかっていたことを思い出す。