エゴイストよ、赦せ
彼女を抱きしめる。

彼女に抱きしめられる。

やさしい香りに包まれる。


何度も、くちづける。

くちづけては、見つめ合う。

くちづけては、確かめ合う。 


その度に、僕は、ローサによって未来が継ぎ足されていくのを感じる。


クールからホットへと温度が変わり、不連続につづられた想いを、幾層ものやさしさが包み込む。

ドライでもなく、ウエットでもなく、織り成された光と影のグラデーションは、すべての飾りを取り払った。


ふたりから生まれ溢れ出た、その想いを掬い、ベッドの海に溶けていく、そのすべてを、掬う。

掬い、注ぎ、また掬い、何度も掬い上げては、また注ぐ。


世界にサヨナラを告げているようで、けれど、世界がここにあることを感じていて。


ひとの温もりが、彼女の温もりが、とても愛しくて。


僕は彼女を愛撫して、彼女も僕を愛撫して。


重なる吐息が、あだめきColorに染まっていく。



< 81 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop