エゴイストよ、赦せ
やっと連休が取れたその日、僕は、ローサと約束した待ち合わせの場所にいた。
ローサとは一週間ほど会っていなかった。
連絡もしていなかった。
彼女からの提案だったからだ。
「初デートだよ? その方が良くない?」
雰囲気作りだという訳のわからない理由だったけれど、僕はそれを受け入れていた。
約束の時間を少し過ぎた頃、彼女に声をかけられた。
僕は最初、彼女が誰なのか、それがわからなかった。
「絵莉だけど」
そう言われてやっと、その彼女が、ローサの友人だと気づく。
一度会っただけとはいえ、言われないとわからないほど、絵莉の見た目は以前とは違っていた。
フサフサのファーがやたらと主張している丈の短いジャケットと、派手なブランド物のバッグ。
金髪に近い明るい色の巻き髪。
目のラインは強調され、マスカラもたっぷりと塗られている。
チラっと光って見えるのはラメだろうか。
誰だ? 清楚なお嬢様みたいだと思ったのは。
違う種類のお嬢様だな、などとのんきなことを考えていた僕に、「みーは来ないよ」と絵莉は言った。