お嬢様と執事。~桜の奇跡~
さっさと寝室から出ていって
もらおうと思ったのに
『私は桜様のお世話ができないのであれば生きている価値も
ありません……!』
「待ちなさい、」
――全く、
厄介な人を執事にしてしまったものだ
こうも毎朝言って聞かせる
のは面倒だし
どうしたものか……
四月一日くんをちらっと見るといかにも嬉しそうな笑顔を
私に向けてくるから
だから、
あんな言葉はほんの
気の迷いに過ぎない
「……わかったから、
あと着替えたいから
出ていってくれる?」
『かしこまりました』
昨日と変わらず恭しく頭を
下げて四月一日くんは寝室
から出ていった