F組探究部
十二歩目
うだるような夏の暑さ。
響きわたる蝉の声。
そして、
鈴「暑゙いぃいぃいいい」
教室に響く人の声。
その原因は机に伏せながら下敷きをパタパタしている鈴神だった。
さっきから彼は暑いとしか発していない。
それもそのはず、他のクラスにはエアコンが完備されているがF組の教室にはエアコンがついていない。
扇風機で夏の暑さをしのいでいた。
馬「やめろぉ鈴神ぃ、よけいに温度が上がるだろぉおお…、」
鈴「だってぇ暑いもんは暑いんだよぉ…、」
今ので教室の温度が5℃上がった。
今は馬場が担当している6限目の数学の時間。
夕方が近づくが日からは暑い日差しが降り注ぐ。
皆暑さを紛らわす為黒板の字をノートに写す。
しかしあまり効果はない。
すぐに暑さが来る。
その中でも暑さを顔に出さない人物がいた。
鈴「杉崎ぃ…、お前暑くないのぉ…?」
杉「暑いよ、」
鈴「全然そーゆー感じには見えないぜぇ…、」
杉「見えないだけ、暑い…、」
鈴「くっそぉそのポーカーフェイス崩してやるぅうううぅ!!!」
発言と同時に鈴神は隣の杉崎に飛び付く。
それを見ていた優木と森谷も飛び付く。
そして森谷に巻き込まれ藤本も飛び付かれる。
暑いだの放せだの教室が騒がしくなる。
馬「お前ら、やめろぉ……って止めるのも暑くて面倒だな……次の問題行くぞぉー」
止めようと思った馬場だったが暑さのせいにしてやめる。
わしゃわしゃと焦げ茶色の頭を掻きため息をつく。
そして再び黒板に文字を書き始める。
その様子を自分の席から見ていた浅井は軽く笑う。
浅「(今日も賑やかだな…、)」