負けないで

奪われたもの

 高1の秋のこと。
私の学校は高1の秋~高2の秋まで私たちの学年が部長や副部長となり、部を支えていく役目になる。

 私の学校は中高一貫校で中高一緒に部活をしているから、4学年あるいは5学年をまとめていくという使命がある。

 高1の秋に、大好きな先輩方が引退なさった。

 これから自分たちの時代が訪れるという喜びと不安があった。

 私は本当は目立ちたがり屋なんだけど、でも、演技力がないせいで、陰の存在になってた。

 本当はもっと目立ちたかったけど、演技力がないから仕方ないっていつも言い聞かせていた。

 私は先輩方に認められていないんじゃないかなって何度も思った。
こわかった。

 認められていないから、私も認められないって何度も思った。

 だから、先輩方から与えられた仕事を行うことすら、頭が動かなくなって、体も動かなくなって、やろうと思っても涙しか出てこなかった。

 たまに、出てくるのは毒舌だった。
どうして、こんなに性格悪いんだろう、自分。
そう思ってた。

 
< 37 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop