忍びの花魅


あの日、華やかな花魅道中の後。

吉原の皆に別れを告げ
禿たちの手を引いて、菊屋が用意した篭に乗った桜太夫。


彼女が祇園の地に足をおろしたのは、三日後の昼下がりであった。


途中旅籠に泊まったり、団子屋に寄ったりして休憩する時間はあったのだが


太夫にとっては
吉原に入れられた時以来の長旅。
正直疲れは尋常じゃない。

禿たちもくたくただ。




見兼ねた菊屋が置屋に床を敷き、すぐに三人を寝かせたのは言うまでもあるまい。





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