忍びの花魅
⑨
あの日、華やかな花魅道中の後。
吉原の皆に別れを告げ
禿たちの手を引いて、菊屋が用意した篭に乗った桜太夫。
彼女が祇園の地に足をおろしたのは、三日後の昼下がりであった。
途中旅籠に泊まったり、団子屋に寄ったりして休憩する時間はあったのだが
太夫にとっては
吉原に入れられた時以来の長旅。
正直疲れは尋常じゃない。
禿たちもくたくただ。
見兼ねた菊屋が置屋に床を敷き、すぐに三人を寝かせたのは言うまでもあるまい。