忍びの花魅
⑥
皆が割り当てられた自分の部屋に荷物を移し終え
仕込みの三人が少しの間、二階で姉さん舞妓達に置屋での過ごし方について尋ねていると…
下からお母さん(女将)に呼ばれた。
女将「京華ちゃ〜ん!!仕事やで〜!!」
会話を途中で遮られ、少し苦笑いをした京子さん姉さんが 京華に向かって悪戯っぽく囁く。
京子「さっそくやな。」
京華もまた苦笑いを返し
お母さんに向かって大きな返事をした。
京華「は〜い!!今行きま〜す!!」
階段を駆け降りる 小袖姿の京華。
その瞳には今までに無い、明るい世界が見えていた。
祇園の街で
自分は生まれ変われる
そんな希望が京華の足取りを軽くさせていた。