忍びの花魅
④
答えは今夜聞きに来ると、前回のお座敷で決められていた。
太夫と吉原の命運がかかっているというので、あれからずっとせわしなかった御影屋の亭主も
三日前、ついに本人へと決定権を委ねた。
桜太夫とて、そういつまでもことを引きずることはしない。
腹はくくった。
が、やはり躊躇していたのは確かだ。
夕暮れ時、何も知らずにお喋りをしている禿たちを見ていると
ついつい、いつまでもここでこうしていたいと思ってしまう。
…。
(だめだ。行かなくては。)
決意の表情で立ち上がった太夫を見て、禿達もふと一抹の不安を感じはしたが
二人とも、荷物を持ち
黙って太夫に付いていった。
太夫と吉原の命運がかかっているというので、あれからずっとせわしなかった御影屋の亭主も
三日前、ついに本人へと決定権を委ねた。
桜太夫とて、そういつまでもことを引きずることはしない。
腹はくくった。
が、やはり躊躇していたのは確かだ。
夕暮れ時、何も知らずにお喋りをしている禿たちを見ていると
ついつい、いつまでもここでこうしていたいと思ってしまう。
…。
(だめだ。行かなくては。)
決意の表情で立ち上がった太夫を見て、禿達もふと一抹の不安を感じはしたが
二人とも、荷物を持ち
黙って太夫に付いていった。