忍びの花魅

二週間後。


今夜、桜太夫とその禿たちは菊屋に引き取られて行く。



吉原では、朝から全ての店主達が店を閉めて御影屋に集まり、総出で花魅道中の支度をしていた。

桜太夫のために、吉原中の花魅みんなで、過去最高規模の花魅道中を催しそうと 他の店の遊女たちが提案をしたのだ。


禿や新造の少女たちも、いつもより沢山の先輩花魅達に囲まれて嬉しいのだろうか。ワイワイとかしましい。

楓や椿も、今日ばかりは太夫に願い出て許可を得たので、例にもれず皆と共にあれこれとお喋りを楽しんでいた。













が、そんな中

当の桜太夫はというと





先程から、皆に気づかれぬように外へ出て 物影に隠れ、ある男と密談をしていた…
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