瞳を紅に染めないで。
「ゆーかっ!」
ぼうっとしていると、後ろから友達のさくらに声をかけられた。
(マズい)
思わず身構える。
瞬間、
「きゃっ」
と言うかわいらしい声とともに頭から冷たいものがかかった。
(…やはりか。)
私は慌てるさくらをよそに冷静に頭をなでた。
オレンジジュースを頭から浴びたのだ。
「ごめんね!ごめんね!」
さくらが両手を合わせて必死に謝る。
「いや、いいのいいの」
いつものことだし。