瞳を紅に染めないで。



「もうほんと使っていいから!ごめんね!」


申しわけなさそうに体操服を差し出す。

さくらは、さっきの私の言葉の意味は理解していないようだ。


始業のチャイムが鳴るが、このまま授業を受けるわけにもいかない。


「さくら、保健室行ってくるから、先生に言ってて」

「え?うん。
体調悪いの?」


気にせず保健室に向かった。


保険医もまたかといった顔で予備の服を貸してくれる。

生憎夏服しかなく、かなり寒い。


「マフラー付けろ」


と言う保険医の言葉にどんなファッションだよと思いながらも寒さに耐えきれず巻く。


身だしなみを見るついでに窓から空を見ればどんよりと曇っていた。


このままいけばきっと雨が降るだろう。

今日は100パーセント晴れだって太眉の天気予報士が言っていたのに。

保健室をでる前に傘はないかと聞いてみたがさすがに傘の予備までは無かった。


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