トライアングル×3―秘密の三角関係―
あたしは正直に首を横にふった。


だって···
本当にわからないから。


「…俺はさ。ガキの時から今の仕事してんだ。でも嫌々じゃない。やりたくてやってんだ。」


悠は生き生きした目で話した。


「毎日忙しくなってくるとさ、逆に燃えるんだよな。仕事してると嫌でも大人に揉まれるからいいことばかりじゃなかったけど」


懐かしむように時折目を細めて。


「仕事は順調。みんな俺をよくしてくれる。けど…気づいたんだよなぁ…」


気付いた…?

悠の表情が曇った。



「ハルカばっかで、“村上悠”って存在がどこにもねぇんだ…」


そして――――悲しそうに笑った。

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