パーフェクトキング~俺様なヒーロー~
少し。
少しくらい。
あたしが違う人と帰る事に。
妬いてくれたら嬉しいな、なんて思ってた。
「ああ、じゃあよろしく」
心のモヤモヤは、ますます大きくなる。
どうせなら、1人で帰って、ナンパされて。
そしたら先輩は、あたしの心配してくれる?
そんなバカなことを考えてしまうくらい、
「あたしって嫌な子だ…」
楽しそうな先輩達の背中を見送りながら、つぶやいた。
「篠原?」
「あ、ごめんね…あの、1人でも帰れるから…わざわざ送ってくれなくても大丈夫だよ?」
「送りたいんだよ…今日くらい」
南波くんの言葉の意味は、よく理解できなかったけど。
南波くんと歩いた道は、1人で歩くよりはずっと穏やかに感じた。