Anathema Reaper-呪いの収穫者-

理由と事情


「お疲れさん。ほら、落ち着けよ」

廉はベンチに座り、ぼんやりとリュカの作業を見守っている。
そんな彼に、正紀は自販機で買ってきた缶ジュースを差し出した。

廉は充血した目で正紀を見上げる。
やがて、何も言わずにジュースを受け取った。

正紀も彼の隣に座り、ジュースを開ける。
廉はジュースを握りしめ、俯いたままボソリと呟いた。

「オレさ……たまに分かんなくなるんだよ」

「何が?」

「自分がやってる事って、本当に正しい事なのかなって」

「そうか……」

見るからに、廉は肉体的にも、精神的にも憔悴している。
正紀は彼を励ますように肩を叩いた。

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