Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「昨日の夜?」

リュカが正紀の言葉を繰り返す。
途端に廉も訳の分からない、という顔をした。

「え?オレ普通だったよ?」

「普通じゃねぇよ。お前さ、覚えてないの?
俺が撃ち抜いた敵の首を刈るときに言ったこと」

「何か言ってたっけ?」

「……」

正紀は眉を寄せ、少し下を向いた。
その顔を、廉は相変わらず怪訝そうに眺める。

「お前……『死ね』って言ってた」

「うっはー。マジでか」

「マジでだ」

いつものやり取りだが、正紀の顔は真剣だった。

昨日の事を思い出そうとするも、どうも正紀の言っている所が思い出せない。
まるで、誰かに記憶を抜き取られたかのように。

< 150 / 331 >

この作品をシェア

pagetop