Anathema Reaper-呪いの収穫者-
「昨日の夜?」
リュカが正紀の言葉を繰り返す。
途端に廉も訳の分からない、という顔をした。
「え?オレ普通だったよ?」
「普通じゃねぇよ。お前さ、覚えてないの?
俺が撃ち抜いた敵の首を刈るときに言ったこと」
「何か言ってたっけ?」
「……」
正紀は眉を寄せ、少し下を向いた。
その顔を、廉は相変わらず怪訝そうに眺める。
「お前……『死ね』って言ってた」
「うっはー。マジでか」
「マジでだ」
いつものやり取りだが、正紀の顔は真剣だった。
昨日の事を思い出そうとするも、どうも正紀の言っている所が思い出せない。
まるで、誰かに記憶を抜き取られたかのように。