Anathema Reaper-呪いの収穫者-

楓は頬に息を溜め、プーッと吹き出した。
その顔は、どこか納得のいっていないような表情をしていた。

「廉さ、もうちょっと気遣ってくれてもよくない?」

「えー?無理。オレだって忙しいんだよ」

「忙しい?廉が?」

うんざりとした顔で手を振る廉。
それに対し、楓は腹を抱えて笑いだした。

「廉が……忙しいなんて……フフッ……あり得ないし」

「オイ!それってだいぶ失礼だぞ!」

立ち上がりそうになるのをなんとか堪え、廉は視線を上に向けた。

「……あ」

赤階段から戻ってきた正紀と目が合う。

リュカに対してあんなことを言ったせいか、正紀の顔を見るのも少し気まずい。

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