Anathema Reaper-呪いの収穫者-

正紀は自分の席に楓が座っているのを確認すると、何も言わずに廉の隣に立った。

二人の異様な雰囲気を感じ取ったのか、楓がアワアワとし始めた。

「え?どうしちゃったの?」

「……何でもねーよ」

そう言う廉の目が泳ぐ。
はたから見ても、動揺しているのが一瞬で分かる。

「私のいない間に何かあったの?」

「だから、何でも無いって」

「でも――」

「佐藤、身体の調子はどうだ?」

楓の言葉を遮り、正紀が尋ねる。
楓は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。

「う、うん。大丈夫」

「そうか、それはよかった」

目を細め、正紀は満足そうに頷く。
楓は不思議そうに首をかしげた。

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