Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「何か廉に言われても説得力ない」

「うるせー!!」

いつものように少し大袈裟に反応する。
楓はニコッと笑い、手を振った。

「冗談だよ。ありがとね、二人とも」

「あぁ。しばらくは、誰かと一緒に寝た方がいいかもしれない」

「そうするよ」

首を大きく縦に振り、楓は二人の元を立ち去った。

訪れる沈黙。
教室内の喧騒は、廉の耳から遠く離れていった。

正紀は何をするわけでもなく、ただその場に立っている。
窓にもたれ、腕を組み、教室内をぼんやり見つめていた。

「……あのさ、10時の方向って言われて、どっちだか分かる?」

沈黙に耐えられなくなり、廉は変なことを口走った。
正紀は彼の顔を穴が開くほど見つめてきた。

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