Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「何だよ?」

「いや、特に何も」

正紀が首を振る。
不思議そうな顔をする廉をよそに、彼は左斜め前を指差した。

「そりゃあ、こっちだろ」

「え?何で分かるんだよ!」

目を丸くし、正紀を見る。
正紀は呆れたように小さくため息をつき、腕を組み直した。

「小二の時に時計の読み方習っただろ」

「そーだすね……」

「お前さ、もう一度小学校からやり直してきた方がいいと思うよ」

「嫌だし!」

右手で軽く正紀を殴る。
彼はそれを華麗にかわし、空いた自分の席に座った。

「……古文書見せて」

「……はい」

途端に廉が浮かない表情になる。
彼は机の中から本を取り出し、渋々と正紀に手渡した。

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