Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「そこは触れないでくれ」

「いいじゃん、別に」

ニヤニヤしながら正紀をいじる廉。
いつも言いくるめられるだけあって、こう言うときに仕返しできるのが地味に嬉しい。

そのままページをパラパラしていた正紀だったが、ふと何か思い出したように手を止めた。

「……そうだ。お前に言わなきゃいけないことがある」

「な、何?」

正紀の真摯な目に圧され、廉の表情が曇っていく。
正紀は眼鏡を上げ、本を閉じた。

「俺のばーちゃん、一昨年死んだんだ」

「……え?」

重要な事を言うのかと構えていたら、正紀の祖母の昔話。
廉は拍子抜けしてしまった。
そんな廉に構わず、正紀の話は続いていく。

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