Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「自殺した。俺の気付かない間にスって逝っちまった」

「それは……ご愁傷様です」

「まだ76歳だったんだぜ?それなのに、認知症までなっちゃって……」

「あー……」

重い話だ。
心なしか、正紀の表情も暗い。

「正紀……大変だったな」

「いや、別に。今のは建前だし」

「……あ?」

正紀はけろっとした顔で告げる。
本気で同情していた廉の顔が歪んだ。

「どういう事だよっ!!」

「認知症は建前だったってこと」

「何で?」

少しイライラしながら問い質す。
正紀は小さくため息をついた。

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