Anathema Reaper-呪いの収穫者-

その時リュカが正紀のポケットから飛び出し、廉の手から催促状を掠め取った。

「別に私の勝手でしょ」

そう言うリュカの顔は真っ赤だ。
彼女は廉から目をそらし、机の上に座った。

「伝説の事……言わなかった私にも非があるわ。ごめんなさい」

「いや……オレも言い過ぎたし……」

廉もボソボソと返す。

イライラしていたのは事実だ。
でも自分で言っておきながら、リュカに他の目的があるとは思っていない。

「何言ってたんだろ、オレ……」

口から出るのは、ため息ばかり。
どんどん自己嫌悪になっていく。

「清水くん、ちょっといいかな?」

暗い顔をしている廉の様子を窺うように、蘭が小さな声で話し掛けてきた。

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