Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「な、何?」

慌てて彼女の方を振り向く。
蘭は廉の頬を指差した。

「ガーゼ交換してあげる」

「え?いいよ、悪いし」

「そんな事言わない!ほら、おいでよ」

蘭が廉の右腕を引っ張る。
途端に廉の腕に激痛が走った。

「いっつ……」

声を抑え、小さく呻く。
蘭は少し不思議な顔をした後、廉のYシャツを捲り上げた。

露になる腕の傷。
左右対称にある大きな青アザが、昨夜の死闘を表していた。

そんな事を知らない蘭は、廉に自分の席へ来るよう言った。

リュカが目を逸らし、正紀は苦笑いを浮かべる。
廉も小さく笑い、蘭の席へ行った。

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