Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「これからは気を付けるよ。心配掛けてごめんな?」

「うん……」

「まさか山吹さんがオレの事気遣ってくれるとは……ちょっと嬉しいな」

「清水くん……」

廉は蘭の手を離し、照れ臭そうに頭を掻いた。

彼の周りにいるのは、自由放任主義な両親と、彼をいじる事を生き甲斐にしている友人達だけ。

心が温かくなると同時に、慣れていないせいか、どう対処したらいいのか分からなかった。

「ほっぺのガーゼも取り替えるね」

「あー、うん。よろしく」

蘭の方へ椅子を引き寄せる。
彼女は少し恥ずかしそうに顔を赤らめ、廉のガーゼに手を伸ばした。

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