Anathema Reaper-呪いの収穫者-

廉が力無く笑う。
本当はレンから教えてもらったことだが、悪魔の存在を疑われている今、彼女に言えるはずがなかった。

「少し休んだ方がいいみたいだな」

正紀も頷き、辺りを見回す。
やがて彼はベンチを見付け、そこに向かって歩いていった。

廉は黙ったまま正紀についていく。
少しでも気を抜いたら、レンに意識を持っていかれそうだ。

「……」

足元が崩れ落ち、底の見えない暗闇へと落ちていく。
夢だったはずなのに、やけにリアルに感じた。

「何だったんだろう……」

一人呟き、ベンチに腰を下ろす。
正紀が彼を一瞥したが、理由を訊こうとしなかった。

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