Anathema Reaper-呪いの収穫者-

リュカは正紀を一瞥するが、すぐに話をし始めた。

「そして、彼女は惹かれるようにして一冊の本に手を伸ばしました。それには、この世のありとあらゆる禁忌の魔法が書かれていました。

彼女はそれをこっそりと家に持って帰り、毎晩読み耽りました」

「本読むことが悪いことなのかよ」

廉が口を挟む。
リュカは呆れたように首を振った。

「別に読むだけだったら構わないわよ。でも、閲覧禁止の本を誰の許可無しに持ってきたのはダメなことね」

「まぁ、そうだよな」

納得したように口を閉じる。
廉は再び視線を本に戻した。

「読むだけじゃ収まりきらなかったのか……」

少しガッカリしたように正紀が呟く。
リュカは大きく首を振った。

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