Anathema Reaper-呪いの収穫者-

縮こまる廉。
彼の頭を、正紀が軽くひっぱたいた。
そして、リュカの方を向く。

「魔女になった彼女、名前は無いんですか?」

「あるわ」

「何て言うんです?」

「それは……」

ここへ来て、急にリュカが口ごもり始めた。
正紀から目を反らし、途方に暮れたような顔をする。

そんな彼女を、正紀が少し怪しむような目で見る。

「どうかしたんですか?」

「いや……何でも」

彼女は廉を一瞥し、口を開いた。

「魔女の名前はカトレアよ」

「カトレア……」

廉が言葉を反芻する。
彼の呟きを聞き、リュカが首を縦に振った。

< 193 / 331 >

この作品をシェア

pagetop