Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「あの時の事は覚えてる?」

リュカが訊く。
廉は首を横に振った。

「じゃあ、覚えてる範囲で!」

少し悩む仕草をする。
彼のシャーペンの動きが、少し遅くなった。

『正紀に話そうとしたら、急にレンの声が聞こえてきた。
で、何か息苦しくなって、そこで終わり』

「その後は?」

『分からない。曖昧なんだ。
いつも夢で見てる場所にいた。オレは、そこから抜け出そうと必死にもがいていた。
レンもいなかった。それしか記憶がない』

「そっか……」

リュカが小さくため息をつく。
廉はノートを捲った。

『多分、正紀のばーちゃんと、同じことが起きてるのかも……』

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